極端なデータになりますが、
厚生労働省の研究班による発表では、自殺を試み、救命救急センターに運ばれた自殺未遂者を調査したところ、初めて自殺を試みた人の84%が睡眠不足を自覚しており、
平均睡眠時間は4~6時間、就寝時間の平均は午前1時10分だったそうです。
こうした調査結果を踏まえても、睡眠時間を確保することが、
肉体的にも精神的にも健康であるための基本になることがわかります。
では、睡眠時間はどれくらいが適切かという話になりますが、
「もっとも死亡率が低い睡眠時間は7時間である」という研究結果が明らかになっています。
短すぎも長すぎも健康に影響を与えるのです。
睡眠時間の確保とともに、眠りの質を高める工夫することも、健康のためには大切です。
前述した通り、近年はパソコンやスマホから深夜まで離れられない人が多いと思うのですが、画面から発せられるブルーライトは、人の目で認識できる光の中で最も波長が短く、大変強いエネルギーを持っており、私たちの体内時計を狂わせる力があるのです。
この強い光刺激を網膜が受けると、「ガングリオンセル」という視細胞が光を感知し、脳の視床下部にある視交叉上核と呼ばれる部分に情報を伝えます。
体内時計を司る視交叉上核は、ブルーライトの光刺激を「朝の太陽に光」と勘違いして「メラトニン」の抑制を指示します。
睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌が止まると、体は活動モードに入り、14~15時間後、メラトニンの分泌が自動的に再開され眠くなるのです。
ですから、深夜までブルーライトの刺激を受けていると目が冴えてしまい、眠れなくなったり、眠っても深い睡眠に入れなくなったりします。
また、寝入ってから14時間後に急激な眠気に襲われ、日中の活動に悪影響を及ぼしてしまいます。
健康的な体と精神状態を維持するためにも、眠る2時間前にはスマホやパソコンの画面から離れて、静かな音楽を聴くなど、脳をリラックスさせることが大切です。
下記のグラフは
大規模コホート研究「JACC Study」
研究代表者:玉腰暁子(北海道大学大学院医学研究科予防医学講座公衆衛生学分野)より
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